1 00:00:01,235 --> 00:00:04,238 家族を捨てた母親か…。 2 00:00:04,238 --> 00:00:06,940 小梅は気付いたんだと思います…。 3 00:00:06,940 --> 00:00:11,111 だけど僕に話しても 取り合ってもらえないと思って それで…。 4 00:00:11,111 --> 00:00:13,480 自ら乗り込んだということか。 5 00:00:13,480 --> 00:00:15,582 申し訳ありません。 6 00:00:17,885 --> 00:00:20,153 急ぐぞ。 7 00:00:20,153 --> 00:00:22,456 小梅の元へ…。 8 00:00:30,330 --> 00:00:32,733 なんで あんたが…。 9 00:00:32,733 --> 00:00:36,737 久しぶりに 娘に会って 他に言うことないの? 10 00:00:38,338 --> 00:00:40,374 ⚟(木戸が開く音) 11 00:00:40,374 --> 00:00:42,509 初音ちゃん お客さんかい。 12 00:00:42,509 --> 00:00:46,513 ああ 親戚の子なの。 急用みたいで。 13 00:00:46,513 --> 00:00:49,116 ちょっと抜けるわね。 あいよ。 14 00:00:55,188 --> 00:00:57,190 ⚟(戸が閉まる音) 15 00:00:59,293 --> 00:01:02,396 いい暮らししてるのね。 フン…。 16 00:01:04,231 --> 00:01:06,366 (小梅)男物? 17 00:01:06,366 --> 00:01:09,069 だったら何なの。 18 00:01:09,069 --> 00:01:13,907 その人 知ってるのかなあと思って。 あんたが別れた亭主と会ってたこと。 19 00:01:13,907 --> 00:01:15,842 っ⁉ 20 00:01:15,842 --> 00:01:19,713 お父さん ここに来てたでしょ? 21 00:01:19,713 --> 00:01:22,983 一体何のことかしら。 22 00:01:22,983 --> 00:01:26,853 この宿 栖合の前に 立ち寄ったのよ お父さん。 23 00:01:26,853 --> 00:01:29,289 お得意さんがいるからって。 24 00:01:29,289 --> 00:01:34,127 まさか相手があんたとは その時は思ってもみなかったけど。 25 00:01:34,127 --> 00:01:37,597 偶然でしょ。 あたしは会ってないわ…。 26 00:01:37,597 --> 00:01:39,566 お父さんに何をやらせたの。 27 00:01:39,566 --> 00:01:42,169 だから 違うと言ってるでしょう。 28 00:01:42,169 --> 00:01:44,404 あんたと同じほくろの女が➡ 29 00:01:44,404 --> 00:01:47,841 霜原の医に仙人蓋を持ち込んだそうよ。 30 00:01:47,841 --> 00:01:49,876 っ…。 31 00:01:49,876 --> 00:01:52,646 おかげで こっちが疑われたわ。 32 00:01:52,646 --> 00:01:56,016 とりあえず黙っといてあげたけど。 33 00:01:56,016 --> 00:01:58,719 猿と取引していたのは あんたね! 34 00:02:00,854 --> 00:02:04,658 自分は手を汚さずに お父さん一人を働かせて➡ 35 00:02:04,658 --> 00:02:06,660 仙人蓋で大儲けして。 36 00:02:06,660 --> 00:02:09,196 邪魔になったから 切り捨てたんじゃないの? 37 00:02:09,196 --> 00:02:11,131 っ! 38 00:02:11,131 --> 00:02:15,002 何の話か分からないわ。 もう帰ってくれる。 39 00:02:15,002 --> 00:02:17,904 …! 40 00:02:17,904 --> 00:02:20,607 ふ… 心配しないで。 41 00:02:20,607 --> 00:02:24,044 今更あんたを 突き出そうとか思ってないから。 42 00:02:24,044 --> 00:02:25,979 ん…? 43 00:02:25,979 --> 00:02:29,483 あたしは これから 一人で生きていかなきゃならないの。 44 00:02:29,483 --> 00:02:32,386 少しくらい いい目を 見させてくれない? 45 00:02:32,386 --> 00:02:34,988 …お母さん。 46 00:02:34,988 --> 00:02:36,923 ん…⁉ 47 00:02:36,923 --> 00:02:39,393 ウフッ… クフフフッ…。 48 00:02:39,393 --> 00:02:41,361 あんた あたしの子だねえ。 49 00:02:41,361 --> 00:02:43,864 チッ…。 (初音)ちょっと待ってなさい。 50 00:02:45,632 --> 00:02:48,402 それにしても大したものね。➡ 51 00:02:48,402 --> 00:02:51,638 あの小心者を どうやって焚きつけたの。➡ 52 00:02:51,638 --> 00:02:55,142 女の子を攫って猿に喰わせるとか。 53 00:02:55,142 --> 00:02:59,413 フッ… そんな度胸 治平にあるわけないじゃない。 54 00:02:59,413 --> 00:03:01,348 え…? 55 00:03:01,348 --> 00:03:04,351 あたしはただ仕事を頼んだだけ。 56 00:03:04,351 --> 00:03:08,755 ワケありの荷物が あるから 佐座木まで運んでくれってね。 57 00:03:08,755 --> 00:03:11,224 ワケありの荷物…? 58 00:03:11,224 --> 00:03:13,694 (食いちぎる音) 59 00:03:13,694 --> 00:03:17,464 じゃあ お父さんは猿のことを 知らなかったの…。 60 00:03:17,464 --> 00:03:20,367 (初音)言ったら引き受けないでしょう。 61 00:03:20,367 --> 00:03:24,204 案の定 佐座木から戻ると真っ青な顔でね➡ 62 00:03:24,204 --> 00:03:28,608 何てことさせてくれた こんなの二度とごめんだって…。 63 00:03:28,608 --> 00:03:33,246 ンフッ… でも結局 栖合も引き受けてくれたわ。 64 00:03:33,246 --> 00:03:37,050 どうして…? もうやらないって 言ってたんでしょう。 65 00:03:37,050 --> 00:03:43,924 それがねえ あいつ仙人蓋を素人に売って 地下街に目をつけられちゃったのよ。 66 00:03:43,924 --> 00:03:47,294 中央にいたら親子ともども命がない➡ 67 00:03:47,294 --> 00:03:52,933 こうなったら自分たちも猿に喰われた ことにして どこか田舎に逃げようって。 68 00:03:52,933 --> 00:03:55,836 栖合の話に乗っかったのね。 69 00:03:55,836 --> 00:03:58,405 それも計算のうちじゃないの? 70 00:03:58,405 --> 00:04:02,275 仙人蓋なんて お父さんに扱えるわけないもの。➡ 71 00:04:02,275 --> 00:04:06,546 そのことを分かってて 栖合に行くしかないように仕向けて…。 72 00:04:06,546 --> 00:04:09,449 あたしが? まさか。 73 00:04:09,449 --> 00:04:13,120 あげくの果てに お父さんに 全部押しつけたんでしょ。 74 00:04:13,120 --> 00:04:16,957 自分一人の仕業だって 文に書くように命令して…! 75 00:04:16,957 --> 00:04:20,227 あの文は 治平があんたのために書いたのよ。 76 00:04:20,227 --> 00:04:23,597 えっ…⁉ (初音)両親共に人殺しじゃ➡ 77 00:04:23,597 --> 00:04:28,535 小梅が可哀想だ 悪党は俺一人でいいってね…。 78 00:04:28,535 --> 00:04:32,606 あれがあったから 地下街も手を引いたのよ。 79 00:04:32,606 --> 00:04:37,043 最後まで治平は あんたのことばかり考えてた。 80 00:04:37,043 --> 00:04:39,045 あっ! 81 00:04:40,981 --> 00:04:44,784 どうこれ… 似合うじゃない。 82 00:04:44,784 --> 00:04:49,990 あ そうだ。 じき うちの人が戻るから 三人でおいしい物でも食べに行こう。 83 00:04:51,558 --> 00:04:55,228 それにしても よく似てる。 やっぱり親子ねえ。 84 00:04:55,228 --> 00:04:59,099 っ! 触らないで!! あっ! 85 00:04:59,099 --> 00:05:01,101 小梅…。 86 00:05:01,101 --> 00:05:05,272 あたしの親は お父さんだけよ! あんたなんて…! 87 00:05:05,272 --> 00:05:08,775 母親じゃない… 絶対に! 88 00:05:11,444 --> 00:05:13,446 フゥッ…! 89 00:05:16,216 --> 00:05:18,752 うぅぅッ! はっ! 90 00:05:18,752 --> 00:05:21,254 こんなとこに一人で のこのこやって来てさ! 91 00:05:21,254 --> 00:05:24,124 馬鹿じゃないの⁉ うっ… んっ! 92 00:05:24,124 --> 00:05:26,893 うっぐ…。 93 00:05:26,893 --> 00:05:29,462 あっ… うっ! 94 00:05:29,462 --> 00:05:31,398 は…! 95 00:05:31,398 --> 00:05:36,136 親なら子どもを殺すわけないって 思ってんでしょう。 甘いのよ! 96 00:05:36,136 --> 00:05:38,071 ふっ… う…。 97 00:05:38,071 --> 00:05:40,807 あたしは父親に売られたの。 98 00:05:40,807 --> 00:05:44,177 13の時 たまったツケの代わりにね。 99 00:05:44,177 --> 00:05:47,514 一度じゃない。 何度も何度も…。 うっ… う…! 100 00:05:47,514 --> 00:05:52,252 ぐっ… うぅっ…! 冬のある日 父親が外で酔いつぶれてた。 101 00:05:52,252 --> 00:05:54,821 明日は雪になるって晩で…。 102 00:05:54,821 --> 00:06:00,160 だから閉め出してやったの。 そしたら朝には冷たくなってた。 103 00:06:00,160 --> 00:06:02,529 っぐ… うっ…。 104 00:06:02,529 --> 00:06:04,464 うぐっ! うっ…! 105 00:06:04,464 --> 00:06:07,834 治平に見初められた時は嬉しかった。 106 00:06:07,834 --> 00:06:10,570 やっと家族を持てたと思った。 107 00:06:10,570 --> 00:06:14,241 治平は あたしを大事にしてくれてねえ。 108 00:06:14,241 --> 00:06:16,743 けど あんたが生まれて➡ 109 00:06:16,743 --> 00:06:19,145 またあたしは一人になった! あぁっ…! 110 00:06:19,145 --> 00:06:21,081 うぅっ…! 111 00:06:21,081 --> 00:06:23,049 ひと…ごろしっ…! 112 00:06:23,049 --> 00:06:26,586 そうね… あたしは人殺し…。 113 00:06:26,586 --> 00:06:30,290 うぅっ… いっ…。 114 00:06:30,290 --> 00:06:32,826 何で こんなことになっちゃったの…。 115 00:06:32,826 --> 00:06:37,197 あたしはただ 幸せになりたかっただけなのに。➡ 116 00:06:37,197 --> 00:06:40,901 ウッ… ウゥ… ウ ウ…。 117 00:06:43,503 --> 00:06:45,505 (戸を蹴破る音) 118 00:06:47,207 --> 00:06:49,609 小梅さん! 大丈夫ですか! 119 00:06:52,479 --> 00:06:56,249 雪哉… ガハッ ゴホッ ゴホゴホ…! 120 00:06:56,249 --> 00:06:59,152 雪哉から大体のことは聞いている。 121 00:06:59,152 --> 00:07:01,454 今まで一人で辛かったろう。 122 00:07:03,323 --> 00:07:07,560 本当にごめん! 酷いことを たくさん言って。 123 00:07:07,560 --> 00:07:10,864 雪哉は来てくれると思ってたわ。 124 00:07:10,864 --> 00:07:12,799 あたしのこと疑ってたから…。 125 00:07:12,799 --> 00:07:14,801 っ! 126 00:07:14,801 --> 00:07:19,572 信用できないって… 雪哉に言われて気が付いたの…。 127 00:07:19,572 --> 00:07:25,378 あたしを心から 信じてくれる人は もういないんだって。 128 00:07:25,378 --> 00:07:29,249 は… うっ… お父さん…。 129 00:07:29,249 --> 00:07:33,053 うっ… ひっ… うぅ…。 130 00:07:33,053 --> 00:07:38,458 あぁ… あぁっ… あああ…! 131 00:07:38,458 --> 00:07:47,701 (泣き声) 132 00:07:47,701 --> 00:07:49,669 後から来なさい。 133 00:07:49,669 --> 00:07:52,072 うぅっ…! 134 00:07:59,312 --> 00:08:02,215 っ! あぁっ! 135 00:08:02,215 --> 00:08:05,618 あんた! 助けておくれ! 136 00:08:05,618 --> 00:08:09,422 ハ…ツネ…。 137 00:08:09,422 --> 00:08:11,524 仙人蓋か…! 138 00:08:15,995 --> 00:08:18,331 ガァアアア!! 139 00:08:18,331 --> 00:08:21,234 うっ! あっ! あぁっ! 140 00:08:21,234 --> 00:08:23,770 うぅっ…。 141 00:08:23,770 --> 00:08:25,705 あ…! 142 00:08:25,705 --> 00:08:27,640 ガァアア! 戻れ!! 143 00:08:27,640 --> 00:08:30,543 (雪哉 小梅)あっ! ガッ! 144 00:08:30,543 --> 00:08:32,846 くっ! ギァーッ! 145 00:08:32,846 --> 00:08:35,548 ぐあっ! うっ! 雪哉! 146 00:08:35,548 --> 00:08:38,451 クァアーッ! キャーッ! 助けて雪哉! 147 00:08:38,451 --> 00:08:40,520 あああっ! くっ! 148 00:08:40,520 --> 00:08:43,223 <この状況どこかで…> 149 00:08:47,027 --> 00:08:49,596 ⚟(小梅の悲鳴)待て 雪哉! 150 00:08:49,596 --> 00:08:52,165 くっ! んんっ! あぁっ!クァアアッ! 151 00:08:52,165 --> 00:08:54,167 殿下! 152 00:08:59,272 --> 00:09:01,641 えっ⁉ うっ! 153 00:09:01,641 --> 00:09:04,310 ギァアアーッ! ぐっ! あっ! 154 00:09:04,310 --> 00:09:06,513 グワアア! うっ! 155 00:09:14,320 --> 00:09:17,824 死んだ⁉ いや… ひとまず下がる。 156 00:09:17,824 --> 00:09:20,126 お前は小梅を…。 157 00:09:26,866 --> 00:09:42,348 ♬~ 158 00:09:42,348 --> 00:09:45,018 あっ…! 159 00:09:45,018 --> 00:09:48,254 あ…! 160 00:09:48,254 --> 00:09:50,256 殿下!! 161 00:09:54,027 --> 00:09:56,129 はっ… 殿下!! 162 00:10:00,800 --> 00:10:03,303 殿下… 殿下!! 163 00:10:03,303 --> 00:10:06,005 雪哉! グァアア! 164 00:10:07,941 --> 00:10:09,943 ガァーッ! 165 00:10:11,845 --> 00:10:14,647 フッ! くっ…! ガァアアッ! 166 00:10:22,455 --> 00:10:25,325 …くぅっ! 167 00:10:25,325 --> 00:10:27,527 ギァアァッ…! 168 00:10:29,195 --> 00:10:32,098 殿下! 殿下! (澄尾)奈月彦!! 169 00:10:32,098 --> 00:10:34,734 聞こえるか! おい! しっかりしろ!! 170 00:10:34,734 --> 00:10:37,337 殿下!! 返事をしろ!! 奈月彦!! 171 00:10:37,337 --> 00:10:40,640 殿下!! おい 目を開けろ!! おい!! 172 00:10:44,410 --> 00:10:59,325 ♬~ 173 00:11:08,368 --> 00:11:10,370 ⚟(御簾の開く音) あ…。 174 00:11:24,317 --> 00:11:35,428 (雨音) 175 00:11:37,030 --> 00:11:39,032 あ…。 176 00:11:42,302 --> 00:11:44,304 っ! 177 00:11:48,174 --> 00:11:51,945 俺の責任です。 申し訳ありません。 178 00:11:51,945 --> 00:11:53,947 っ! 179 00:11:55,848 --> 00:11:57,850 浜木綿さま…。 180 00:12:06,259 --> 00:12:08,261 …ッ! 181 00:12:12,966 --> 00:12:15,235 く…! 182 00:12:15,235 --> 00:12:17,337 ハッ…! 183 00:12:19,806 --> 00:12:22,575 処罰は済んだ。➡ 184 00:12:22,575 --> 00:12:25,011 だから馬鹿なことを考えるんじゃないよ。 185 00:12:25,011 --> 00:12:27,914 っ… ふ…! (浜木綿)これは命令だーー。 186 00:12:38,291 --> 00:12:41,194 三 四年前かしら。 187 00:12:41,194 --> 00:12:45,798 中央山の裾野から 徐々に水が涸れ始めて…➡ 188 00:12:45,798 --> 00:12:48,635 ついに うちの人の井戸まで…。 189 00:12:48,635 --> 00:12:53,906 お前から 若い女の とてもうまそうな匂いがする。 190 00:12:53,906 --> 00:12:58,278 次は その女を喰いたい。 …それは無理だ。 191 00:12:58,278 --> 00:13:02,982 なぜだ。 お前の妻か それとも娘か? 192 00:13:02,982 --> 00:13:04,917 駄目と言ったら駄目だ! 193 00:13:04,917 --> 00:13:07,353 (初音)あら いいじゃない。 っ! 194 00:13:07,353 --> 00:13:10,056 は 初音! ここには来るなと! 195 00:13:13,026 --> 00:13:18,197 ねえ。 女の肉なら 別にあたしじゃなくてもいいんでしょう? 196 00:13:18,197 --> 00:13:20,600 ああ 構わない。 197 00:13:20,600 --> 00:13:25,171 お礼に もっとたくさんの仙人蓋をやろう。 198 00:13:25,171 --> 00:13:28,708 ね いくらでも やりようはあるわ。 199 00:13:28,708 --> 00:13:30,710 ぬ…! 200 00:13:33,546 --> 00:13:38,718 (雷鳴と雨音) 201 00:13:38,718 --> 00:13:40,653 (初音)もういいでしょ。 202 00:13:40,653 --> 00:13:44,390 縄を外してくれない? 痛くて…。 203 00:13:44,390 --> 00:13:47,160 そんなものではないはずだ。 204 00:13:47,160 --> 00:13:50,630 ん…。 犠牲になった憐れな同胞に➡ 205 00:13:50,630 --> 00:13:52,965 お前が与えた痛みと苦しみは――。 206 00:13:52,965 --> 00:13:55,835 (初音)誰が同胞だって? 207 00:13:55,835 --> 00:13:59,639 あんたたちに世話になった覚えは ないけど➡ 208 00:13:59,639 --> 00:14:04,010 そっちが仲間だって言うなら ここから出してもらおうかしら。 209 00:14:04,010 --> 00:14:05,945 っ⁉ 210 00:14:05,945 --> 00:14:08,848 (初音)ハハハッ… フハハハハッ…。 211 00:14:08,848 --> 00:14:11,150 貴様…! 212 00:14:11,150 --> 00:14:14,921 (初音)誰も助けてくれなかったわ。 213 00:14:14,921 --> 00:14:20,460 憐れとか同胞とか きれいな言葉を並べて 近づいてくる奴は特にね! 214 00:14:20,460 --> 00:14:22,395 っ! 215 00:14:22,395 --> 00:14:26,265 でも 猿は嘘をつかないし お金をくれた。 216 00:14:26,265 --> 00:14:29,469 おかげで夢のような 贅沢ができたわ。 217 00:14:31,871 --> 00:14:34,807 今だって 猿に 感謝してるわよ。 218 00:14:34,807 --> 00:14:37,143 くっ…! 219 00:14:37,143 --> 00:14:39,746 それで… あたしを殺すんでしょ? 220 00:14:39,746 --> 00:14:41,881 っ! 221 00:14:41,881 --> 00:14:45,284 いいわよ。 許してあげる。 222 00:14:45,284 --> 00:14:47,220 は…! 223 00:14:47,220 --> 00:14:49,522 (雷鳴) 224 00:14:49,522 --> 00:14:51,524 連れていけ! 225 00:14:53,226 --> 00:14:55,161 立て! 226 00:14:55,161 --> 00:14:58,631 こんな世の中 長くは続かないわ。 227 00:14:58,631 --> 00:15:00,633 ほらっ! 228 00:15:02,235 --> 00:15:08,941 (雨音) 229 00:15:08,941 --> 00:15:11,544 …分からん。 230 00:15:11,544 --> 00:15:14,781 私には あの女が理解できん。 231 00:15:14,781 --> 00:15:18,551 いや… 女には同情の余地もない。 232 00:15:18,551 --> 00:15:21,854 理解する必要もないのだ。 233 00:15:21,854 --> 00:15:26,259 恐らく女は むごたらしい形で 処刑されるでしょうなあ。 234 00:15:29,395 --> 00:15:31,330 自業自得だ。 235 00:15:31,330 --> 00:15:34,934 ええ そのとおりです 長束さま。 236 00:15:34,934 --> 00:15:37,537 だったら そのしたり顔を今すぐやめろ!! 237 00:15:39,205 --> 00:15:41,140 フッ…。 238 00:15:41,140 --> 00:15:50,817 (雨音) 239 00:15:50,817 --> 00:15:54,086 殿下が刺されたのは僕のせいです。 240 00:15:54,086 --> 00:15:59,325 たやすく猿を倒せるなら 大烏も 一撃で殺せるだろうと…。 241 00:15:59,325 --> 00:16:02,128 いや お前のせいじゃない。 242 00:16:05,431 --> 00:16:08,234 真の金烏とは何だと思う? 243 00:16:08,234 --> 00:16:10,236 え? 244 00:16:12,038 --> 00:16:17,643 雪哉… 奈月彦はな 八咫烏を 殺すことができないんだ。 245 00:16:17,643 --> 00:16:19,579 え…⁉ 246 00:16:19,579 --> 00:16:24,183 金烏にとって 全ての八咫烏は 慈しむべき対象だから――➡ 247 00:16:24,183 --> 00:16:26,452 あいつには殺せない。 248 00:16:26,452 --> 00:16:30,323 例え相手が 自分の命を取りに来た奴であろうと。 249 00:16:30,323 --> 00:16:32,325 あ…! 250 00:16:34,160 --> 00:16:36,095 ギァアアーッ! 251 00:16:36,095 --> 00:16:39,565 (浜木綿)そういう生き物なんだよ 金烏は。 252 00:16:39,565 --> 00:16:43,436 真の金烏には心が無い とも言われていてね。 253 00:16:43,436 --> 00:16:45,805 心が…? 254 00:16:45,805 --> 00:16:48,608 むしろ感情と言うべきかな。 255 00:16:48,608 --> 00:16:51,244 実際あいつ自身も そう言っている。 256 00:16:51,244 --> 00:16:56,816 「嬉しいとか悲しいとか 今まで自分は感情を持った記憶がない」➡ 257 00:16:56,816 --> 00:17:00,186 「君主が正しい判断を下そうとする時➡ 258 00:17:00,186 --> 00:17:04,056 個人の心は 邪魔なものでしかないからだろう」って。 259 00:17:04,056 --> 00:17:07,059 思い当たらなくもないような…。 260 00:17:07,059 --> 00:17:11,898 フッ 特にお前は 酷い目にあってるからねえ。 261 00:17:11,898 --> 00:17:18,304 けどね 奈月彦に感情がないというのは 絶対に嘘だと アタシは思っているよ。 262 00:17:20,940 --> 00:17:25,778 それでも あまりに大きな 金烏の使命を前にすれば➡ 263 00:17:25,778 --> 00:17:30,116 あいつの心も 水に濡れた紙みたいに儚くなって…➡ 264 00:17:30,116 --> 00:17:34,987 本人も気付く前に 溶けて形を無くしてしまうんだろうね…。 265 00:17:34,987 --> 00:17:39,191 (雨音) 266 00:17:41,694 --> 00:17:44,096 ⚟殿下がお目覚めになったぞ! 267 00:17:53,306 --> 00:17:56,108 ん…。 268 00:17:56,108 --> 00:17:58,911 よかった… よかった。 269 00:17:58,911 --> 00:18:02,214 奈月彦!! 俺だ 分かるか! 270 00:18:05,051 --> 00:18:08,087 奈月彦… ぐ…! 271 00:18:08,087 --> 00:18:11,657 くっ うぅぅう…! 272 00:18:11,657 --> 00:18:14,694 (澄尾の嗚咽) 神様…。 273 00:18:14,694 --> 00:18:17,496 (澄尾の嗚咽) (すすり泣き) 274 00:18:25,972 --> 00:18:28,474 (少女の笑い声) 275 00:18:30,343 --> 00:18:32,445 フ…。 276 00:18:38,050 --> 00:18:40,686 殿下 傷は大丈夫ですか。 277 00:18:40,686 --> 00:18:43,155 もうほとんど痛まない。 278 00:18:43,155 --> 00:18:46,492 お前こそ顔色が悪いが ここで休んで待つか。 279 00:18:46,492 --> 00:18:50,363 ご冗談を 殿下の身にまた何かあったら。 280 00:18:50,363 --> 00:18:53,265 フ…。 281 00:18:53,265 --> 00:18:55,267 あれだ。 282 00:18:59,171 --> 00:19:01,173 ハッ…。 283 00:19:05,978 --> 00:19:08,648 あ…! 284 00:19:08,648 --> 00:19:10,750 不知火…? 285 00:19:13,185 --> 00:19:15,187 なぜこんなに…。 286 00:19:15,187 --> 00:19:19,392 私が伏している間に 綻びが広がったようだ。 287 00:19:21,627 --> 00:19:24,530 (弓を引き絞る音) 288 00:19:24,530 --> 00:19:26,532 (矢を射る音) 289 00:19:33,672 --> 00:19:36,976 不知火は人間の作り出す光だ。 290 00:19:36,976 --> 00:19:39,445 人間の…? 291 00:19:39,445 --> 00:19:45,351 人間は 闇という闇を 照らさずにはいられない生き物だ。 292 00:19:45,351 --> 00:19:47,486 (矢を射る音) 293 00:19:47,486 --> 00:19:52,758 その勢いは凄まじく こうして山内のそばまで迫っている。 294 00:19:52,758 --> 00:19:55,361 いや…。 (矢を射る音) 295 00:19:55,361 --> 00:19:59,231 すでに辺境の村が いくつも飲み込まれ 消滅した。 296 00:19:59,231 --> 00:20:03,436 えっ⁉ 遠からず 猿どもはまた現れるだろう。 297 00:20:05,771 --> 00:20:08,874 山内の水は涸れ 民の心は荒れる。 (矢を射る音) 298 00:20:11,577 --> 00:20:16,315 綻びもますます広がり そしていずれは人間も。 299 00:20:16,315 --> 00:20:21,587 それが山内の崩壊なのですか 山内は消えてしまうのですか⁉ 300 00:20:21,587 --> 00:20:25,458 崩壊の真の姿は 私にも分からない…。 301 00:20:25,458 --> 00:20:27,793 だが確実に来る。 302 00:20:27,793 --> 00:20:30,296 なぜそこまで言い切れるんです。 303 00:20:30,296 --> 00:20:33,099 私が生まれてきたからだ。 304 00:20:33,099 --> 00:20:39,338 真の金烏は 常にその時代に望まれる力を 備えて送り出される。 305 00:20:39,338 --> 00:20:44,543 乱世には癒しの力を 災害の世には生きぬく叡智を➡ 306 00:20:44,543 --> 00:20:47,179 そして私には――➡ 307 00:20:47,179 --> 00:20:51,717 山内の崩壊を食い止める力を。 308 00:20:51,717 --> 00:20:53,719 (矢を射る音) 309 00:21:01,927 --> 00:21:04,463 僕は どうすればいいのですか。 310 00:21:04,463 --> 00:21:08,067 垂氷に戻り 家族を守るのであろう? 311 00:21:10,770 --> 00:21:15,174 じゃあ あなたは 一人で山内を守るんですか。 312 00:21:15,174 --> 00:21:18,077 これからも誰も知らないところで➡ 313 00:21:18,077 --> 00:21:22,615 綻びを繕い 自分の感情を押し殺して。 314 00:21:22,615 --> 00:21:25,985 私は全ての八咫烏の長。 315 00:21:25,985 --> 00:21:29,989 一羽を救うために全てを捧げる…。 316 00:21:29,989 --> 00:21:32,691 それが私の喜びだ。 317 00:21:32,691 --> 00:21:34,627 あ…。 318 00:21:34,627 --> 00:21:46,071 ♬~ 319 00:21:46,071 --> 00:21:48,007 帰るぞ。 320 00:21:48,007 --> 00:21:50,442 殿下。 321 00:21:50,442 --> 00:21:55,281 あなたを守るということは 山内を守ること。 322 00:21:55,281 --> 00:21:58,684 すなわち 僕の故郷を守ることだ。 323 00:22:01,053 --> 00:22:06,458 つまり これからもあなたの傍にいて 支えることが 最良の選択です。 324 00:22:06,458 --> 00:22:08,460 雪哉。 325 00:22:08,460 --> 00:22:12,865 真の金烏は仕事はできても 自分の面倒は からっきしでしょう? 326 00:22:12,865 --> 00:22:15,067 危なくて ほっとけませんよ。 327 00:22:19,672 --> 00:22:23,242 金烏陛下に伏してお願い申し上げます。 328 00:22:23,242 --> 00:22:26,245 これより後 わたくし垂氷の雪哉は➡ 329 00:22:26,245 --> 00:22:32,318 この命尽き 体朽ち果て 魂の最後の一片が消えて無くなるまで➡ 330 00:22:32,318 --> 00:22:36,188 あなたさまに忠誠をお誓い申し上げます。 331 00:22:36,188 --> 00:22:45,831 ♬~ 332 00:22:45,831 --> 00:22:49,702 いずれお前は 私の懐刀となろう…。 333 00:22:49,702 --> 00:22:55,241 だが そのために辛い思いも すれば 苦しいこともあると思う。 334 00:22:55,241 --> 00:22:58,210 必要になれば お前を切り捨てるかもしれないし➡ 335 00:22:58,210 --> 00:23:02,848 時に私は 最良の主ではないかもしれない…。 336 00:23:02,848 --> 00:23:06,085 それでも構わないか。 337 00:23:06,085 --> 00:23:09,955 どうか配下の末席に加えてください。 338 00:23:09,955 --> 00:23:33,245 ♬~ 339 00:23:33,245 --> 00:23:37,116 ♬「羽を伸ばしてふらふら」 340 00:23:37,116 --> 00:23:41,887 ♬「うつけてみたいや 何も考えたくない」 341 00:23:41,887 --> 00:23:43,822 ♬「疲れてしまったよ」 342 00:23:43,822 --> 00:23:47,493 ♬「羽目をはずして ぐだぐだ」 343 00:23:47,493 --> 00:23:53,198 ♬「流石に昨日はちょっと 遊びすぎたかもな」 344 00:23:53,198 --> 00:23:56,535 ♬「カァカァ烏合の衆 文句ばっかりじゃない?」 345 00:23:56,535 --> 00:23:58,938 (院生)今年はヤバい奴がいるらしいぜ。 346 00:23:58,938 --> 00:24:01,340 (院生)あー 大貴族の御曹司だろう。 347 00:24:01,340 --> 00:24:04,310 (院生)俺は若宮の近習って聞いたけど。 348 00:24:04,310 --> 00:24:06,879 (院生)それ試験で満点のとは別の奴。 349 00:24:06,879 --> 00:24:08,814 ここは勁草院だ。 350 00:24:08,814 --> 00:24:12,685 いやしくも金烏をお守りする 山内衆の養成所。 351 00:24:12,685 --> 00:24:15,020 腕っぷしが全てだぜ。 352 00:24:15,020 --> 00:24:20,359 御曹司だろうが近習だろうが この市柳さまが骨の髄から鍛え直して…。 353 00:24:20,359 --> 00:24:22,928 …ん? 354 00:24:22,928 --> 00:24:26,398 あ あっ… ゆ 雪哉⁉ 355 00:24:26,398 --> 00:24:28,934 お久しぶりです 市柳先輩。 356 00:24:28,934 --> 00:24:31,837 なんでお前… 勁草院には来ないって! 357 00:24:31,837 --> 00:24:34,606 あー ちょっと気が変わりまして。 358 00:24:34,606 --> 00:24:37,476 山内衆になるのも悪くないかなって。 359 00:24:37,476 --> 00:24:41,347 あ… あぁ…。 ま どうぞお手柔らかに。 360 00:24:41,347 --> 00:24:43,382 え… あぁ…。 361 00:24:43,382 --> 00:24:46,085 うわ~~~ッ!!