

idea2で取り入れた概念は食を商品として扱うだけでは包括出来ないほどの大きな問題である。
古くから自給自足を基本とした「生きていくための食」は現代(主に先進国)の市場で取引される商品として私たちの認識に映るものになった。
食を商品として見ている価値観そのものが現代の食事事情に関わる問題(健康・環境・社会コストを含む)にあるのだとしたら、私たちは今一度
あるいは多少なりとも食糧に対する見方を改めなければならない。
食材を商品としてだけでなく、もっと視野を広げて見てみるとどうなるだろうか?
例えば、スーパーに置かれている根菜類(人参、さつまいも、じゃがいも など)はある程度市場での売り上げを保証するために定められた形・大きさ・重さ・色(見た目)がある。
しかし、その一定数は定められた枠におさまらない規格外の野菜である。これはたとえ良質であっても商品の均一さを守るため市場から廃棄・排除されるのである。
このような事態を避けるため、発育状態や形状を均一にするための化学薬品・化学肥料などを用いるということが、農業の現場で起こっている。
それは上記の通り、「食材を商品としてしか見ていない」という価値観の現れのように思える。
ロストフードを削減し、より多くの食材を人々の元へ届けるためにも、こうした規格外の食材の扱い方を根っこの部分から改変させていく必要がある。
そのような問題背景もあって私は人が「意図的に食材の形を規格外に変えるアイテム」を作りたいと思った。
例えば根菜類は規格外の形が最も多い野菜の一つだ。これを人間が意図してユニークな形にすることで、規格外野菜に対するネガティヴなイメージを払拭するという狙いだ。
アイテムは野菜の成長の圧力に耐えられる硬い容器になっており、未熟な段階から取り付け、成長とともに容器の形が食材の形に反映されてるような仕組みだ。
ターゲットは家庭菜園者・農業従事者を設定した。
「食のメタモルフォーゼ」というコンセプトを元に考えたアイデア。
廃棄商材や食材のもつ繊維・色素などは現在多くの開発の余地があると思われる。
消しゴムもそのうちの一つだと考えた。スーパーに行ってみると、案外「きのこ」や「ブロッコリー」など
消しゴムに似た食感のものもあるし、「パン」は昔消ゴムの代用品として、デッサンなどに使われていたこともある。
消しゴムの成分表を調べると、「油」や「ゴム・プラスチック材料」などを使うことがわかった。
食材での代用が可能かどうか試してみる価値はありそうだ。