--- title: Rakuten AI 調査レポート tool_name: Rakuten AI tool_reading: ラクテン エーアイ category: 基盤モデル/LLMチャット developer: Rakuten Group, Inc. official_site: https://ai.rakuten.co.jp/ date: '2025-10-25' last_updated: '2026-10-05' tags: - AI - SaaS - オープンソース - 大規模言語モデル - 生成AI description: 楽天エコシステムのデータを活用し、消費者向けエージェントから法人向け業務効率化、開発者向けLLMまで提供する統合AIイニシアチブ。 quick_summary: has_free_plan: true is_oss: true starting_price: 無料 target_users: - 開発者 - 中小企業 - 楽天ユーザー latest_highlight: 2026年8月に推論速度とコンテキスト長を改善したRakuten AI 2.5シリーズ(プレビュー版)を公開 update_frequency: 高 evaluation: score: 82 base_score: 70 plus_points: - point: 8 reason: 高性能な日本語LLM (Rakuten AI 2.0) をOSS公開し、エコシステムとの連携も強力 - point: 5 reason: 楽天エコシステム内の膨大なデータを学習に活用しており、Eコマース関連タスクに強い - point: 2 reason: 楽天市場アプリへのAI搭載など、具体的なサービス統合が進んでいる minus_points: - point: -3 reason: 楽天エコシステム外のツールとの連携機能が限定的 summary: 日本語LLMの性能とエコシステム連携が強みだが、汎用性は発展途上。 links: huggingface: https://huggingface.co/Rakuten relationships: related_tools: - ChatGPT - Claude - Grok - さくらのAI --- # **Rakuten AI 調査レポート** ## **1. 基本情報** * **ツール名**: Rakuten AI (楽天AI) * **ツールの読み方**: ラクテン エーアイ * **開発元**: Rakuten Group, Inc. (楽天グループ株式会社) * **公式サイト**: [https://ai.rakuten.co.jp/](https://ai.rakuten.co.jp/) * **関連リンク**: * Hugging Face: [https://huggingface.co/Rakuten](https://huggingface.co/Rakuten) * GitHub: [https://github.com/rakutentech](https://github.com/rakutentech) * **カテゴリ**: 生成AI * **概要**: Rakuten AIは、楽天グループが展開する70以上のサービスにAI技術を統合する「AI-nization」の中核をなす構想です。消費者向けAIエージェント、法人向けの業務効率化サービス「Rakuten AI for Business」、高性能なオープンソース日本語LLM「Rakuten AI 2.0」まで、ビジネスと消費者の両方にソリューションを提供します。 ## **2. 目的と主な利用シーン** * **解決する課題**: 楽天の広範なエコシステムから得られるデータを活用し、顧客体験の向上、ビジネスパートナー(特に中小企業)の業務効率化、国内のAI開発力強化を実現すること。 * **想定利用者**: * **消費者**: 「楽天市場」アプリなどを通じて、AIによる購買体験のサポートを受けるユーザー。 * **法人・中小企業**: 低コストで業務に生成AIを導入したい事業者(マーケティング、メール作成、顧客対応など)。 * **開発者・研究者**: 高性能な日本語LLMを利用して新たなAIアプリケーションを構築するエンジニア。 * **利用シーン**: * **Eコマース**: 楽天市場アプリでのAIコンシェルジュによる商品検索、出店者向けの商品説明文や画像の自動生成。 * **法人業務**: 「Rakuten AI for Business」を利用した、50種類以上のテンプレートに基づくメール作成やマーケティングコンテンツ生成。 * **AI開発**: オープンソースの「Rakuten AI 2.0」を基盤とした、独自のAIサービスや研究開発。 ## **3. 主要機能** * **Rakuten AI 2.5 (プレビュー)**: 2026年8月に公開された最新のLLMプレビュー版。推論速度の向上と長いコンテキストウィンドウのサポートが特徴。 * **Rakuten AI 2.0**: Mixtral 8x7Bベースの高性能モデルと、2Bの軽量モデル(Mini)を含む、日本語能力に優れたベースラインモデル。 * **Rakuten AI for Business**: 法人向けのSaaS型生成AIサービス。マーケティング資料作成、データ分析、ビジネスチャットなどの機能を提供。 * **AIエージェント**: 「楽天市場」スマートフォンアプリに搭載されたAIコンシェルジュ機能。対話形式でユーザーのニーズを理解し、商品を提案する。 * **Eコマース向けAIツール**: 楽天市場の店舗運営システム「RMS」に統合されたAIアシスタント機能。画像加工やデータ分析を自動化し、店舗運営を効率化。 * **意味検索 (Semantic Search)**: ユーザーの検索意図をAIが解釈し、従来のキーワード検索より関連性の高い商品を表示する機能。 * **Rakuten Link AI**: コミュニケーションアプリ「Rakuten Link」に統合されたAIチャット機能。 ## **4. 動作原理・システム構成** * **アーキテクチャ**: クラウドベースのSaaS(Rakuten AI for Business等)およびローカル/自己ホスト可能なオープンソースLLM(Rakuten AI 2.0)。 * **主要コンポーネントとデータフロー**: * ユーザーのプロンプト入力やデータは楽天のセキュアなクラウド環境で処理される。 * 「Rakuten AI for Business」においては、業務テンプレートを通じてプロンプトがLLMに送信され、結果がユーザーインターフェースに返される。 ```mermaid graph TD User[ユーザー/企業] -->|プロンプト/データ入力| RakutenCloud[楽天クラウド基盤] RakutenCloud -->|API連携| LLM[Rakuten AI モデル群] LLM -->|生成・推論結果| RakutenCloud RakutenCloud -->|応答| User ``` * **特筆すべき要素技術**: * **Mixtralアーキテクチャ**: Rakuten AI 2.0の一部モデルで採用され、計算効率と高性能を両立。 ## **5. 開始手順・セットアップ** * **前提条件**: * (LLM利用の場合) Python環境、Hugging Faceアカウント、GPUリソース。 * (法人向けサービスの場合) Rakuten IDおよび法人契約。 * **インストール/導入**: ```bash # Hugging Faceからモデルを利用する場合 pip install transformers torch accelerate ``` * **初期設定**: * Hugging FaceのモデルページからモデルIDを確認(例: `Rakuten/RakutenAI-2.0-8x7B-instruct`)。 * **クイックスタート**: ```python from transformers import AutoModelForCausalLM, AutoTokenizer model_id = "Rakuten/RakutenAI-2.0-mini-instruct" tokenizer = AutoTokenizer.from_pretrained(model_id) model = AutoModelForCausalLM.from_pretrained(model_id, device_map="auto") input_text = "楽天AIについて教えてください。" inputs = tokenizer(input_text, return_tensors="pt").to("cuda") outputs = model.generate(**inputs, max_new_tokens=100) print(tokenizer.decode(outputs[0])) ``` ## **6. 特徴・強み (Pros)** * **高性能な日本語LLM (Rakuten AI 2.0)**: Mixtralアーキテクチャを採用し、日本語の理解・生成能力に優れたモデルをOSSとして提供している点。 * **楽天エコシステムとの連携**: 70以上のサービスから得られる膨大なデータと既存の顧客基盤を活用し、実用的なAI機能を迅速に展開できる。 * **BtoBとBtoCの両輪展開**: 消費者向けサービスで得た知見を法人向けサービスに活かすなど、相乗効果が期待できるビジネスモデル。 * **オープンなアプローチ**: 主要モデルをApache 2.0ライセンス等で公開し、開発者コミュニティへの貢献を重視している。 ## **7. 弱み・注意点 (Cons)** * **エコシステム外との連携**: 機能の多くは楽天サービス群に最適化されており、外部の主要SaaS(Microsoft 365, Salesforce等)との標準連携機能は限定的。 * **第三者評価の不足**: 法人向けサービスは比較的新しいため、G2やCapterraといったグローバルなレビューサイトでの評価や詳細な導入事例がまだ少ない。 * **汎用性の課題**: 汎用的なAI開発プラットフォーム(Vertex AI, Azure AI)と比較すると、現時点では楽天エコシステムに特化したソリューションが中心。 ## **8. 料金プラン** | プラン名 | 料金 | 主な特徴 | |---------|------|---------| | **Rakuten AI (OSS)** | 無料 | Hugging Faceで公開されているモデル(Rakuten AI 2.0, 7Bなど)。Apache 2.0ライセンス等で商用利用も可能。 | | **Rakuten AI for Business** | 要問い合わせ | 法人向け生成AIサービス。マーケティング、分析、チャット機能などのパッケージ。 | | **Rakuten AI Agent** | 無料 | 「楽天市場」アプリ等を通じて提供される消費者向けAI機能。 | * **課金体系**: 法人向けサービスはユーザー数や機能に応じた月額課金(詳細は問い合わせ)。 * **無料トライアル**: OSSモデルは即時利用可能。法人向けサービスのトライアル有無は公式サイトで要確認。 ## **9. 導入実績・事例** * **導入企業**: 具体的な企業名は限定的だが、楽天グループ内の各サービスおよび楽天市場の出店者を中心に導入が進んでいる。 * **導入事例**: * **楽天市場出店者**: 商品画像作成時間を大幅に削減、AIによる広告運用で費用対効果が向上。 * **楽天モバイル**: カスタマーサポートにおけるAIチャットボットの活用。 * **HP Japan**: Rakuten AIを搭載したPC製品の展開(オンデバイスAI)。 * **対象業界**: Eコマース、小売、通信、金融など、楽天エコシステムに関連する幅広い業界。 ## **10. サポート体制** * **ドキュメント**: 開発者向けにHugging FaceおよびGitHubでモデルカードや利用ガイドが提供されている。 * **コミュニティ**: Hugging FaceのDiscussionフォーラム等で開発者間の情報交換が行われている。 * **公式サポート**: 法人向けサービス「Rakuten AI for Business」については、契約者向けのサポート窓口が提供される。 ## **11. エコシステムと連携** ### **11.1 API・外部サービス連携** * **API**: OSSモデルは自社サーバーまたはクラウド上でAPI化して利用可能。 * **外部サービス連携**: 主に楽天エコシステム内のサービス連携が中心。HP製PCへのオンデバイスAI機能搭載など、ハードウェアメーカーとの連携も進めている。 ### **11.2 技術スタックとの相性** | 技術スタック | 相性 | メリット・推奨理由 | 懸念点・注意点 | |:---|:---:|:---|:---| | **Python (Transformers)** | ◎ | 公式推奨。Hugging Faceライブラリで簡単に利用可能。 | GPUメモリの確保が必要。 | | **LangChain** | ◯ | Hugging Face Hub経由またはローカルLLMとして統合可能。 | プロンプトテンプレートの調整が必要な場合がある。 | | **Node.js** | △ | Pythonと比較してライブラリの充実度が劣る。API経由での利用が推奨。 | ローカル実行のハードルが高い。 | ## **12. セキュリティとコンプライアンス** * **認証**: 法人向けサービスではRakuten ID等による認証を利用。 * **データ管理**: 「Rakuten AI for Business」では、入力された情報がAIモデルの再学習に利用されることを防ぐオプションを提供。 * **準拠規格**: 「楽天AI倫理規定」を策定し、それに従ってAIを開発・運用。具体的な第三者認証(ISO27001等)の取得状況は公式サイトで公開されていない。 ## **13. 操作性 (UI/UX) と学習コスト** * **UI/UX**: 法人向けサービスはブラウザベースで直感的に利用でき、業務別のテンプレートが用意されているため、AIの専門知識がなくても利用しやすい。 * **学習コスト**: 楽天市場の店舗運営者が既存の管理画面からシームレスに利用できるなど、学習コストは比較的低い設計になっている。 ## **14. ベストプラクティス** * **効果的な活用法 (Modern Practices)**: * **RAG (検索拡張生成)**: 日本語に強いRakuten AI 2.0をベースに、社内ドキュメントを検索対象としたRAGシステムを構築する。 * **ローカルLLM**: 機密性の高いデータを扱う場合、オンプレミス環境でOSSモデルを稼働させることでデータ流出リスクを低減する。 * **陥りやすい罠 (Antipatterns)**: * **汎用モデルとの混同**: あくまで日本語やEコマースタスクに特化しているため、高度な推論や英語圏の文化理解が必要なタスクではGPT-4等との使い分けが必要。 ## **15. ユーザーの声(レビュー分析)** * **調査対象**: ウェブ検索およびSNS(X)による調査。 * **総合評価**: 公開されているレビューサイトでのスコアは確認できない(2026年2月時点)。 * **ポジティブな評価**: * 「Rakuten AI 2.0 (8x7B) の日本語生成能力が高く、特にビジネス文書の作成で自然な表現ができる」 * 「OSSとして公開されているため、自社環境で試しやすく、コストを抑えられる」 * 「楽天市場アプリのAIチャットが以前より賢くなり、商品探しが楽になった」 * **ネガティブな評価 / 改善要望**: * 「法人向けサービスの料金体系が不透明で問い合わせが必要なのが手間」 * 「APIの提供形態が明確でなく、システム組み込みのハードルが高い」 * 「エコシステム外での利用事例が少なく、導入判断が難しい」 * **特徴的なユースケース**: * 自治体や公共機関における、セキュリティを重視したオンプレミス環境での日本語LLM活用。 ## **16. 直近半年のアップデート情報** * **2026-08-10**: Rakuten AI 2.5シリーズのプレビュー版を公開。推論速度の向上とコンテキスト長の大幅な拡張を実現。 * **2026-05-15**: 楽天市場向けAIアシスタント機能が大幅に拡充され、出店者向けのマルチモーダル生成機能が強化された。 * **2025-02-26**: Hugging Faceにて「Rakuten AI 2.0」シリーズ(8x7B-instruct, Mini-instruct)のモデル更新を公開。 * **2025-02-10**: 「Rakuten AI 2.0」の初期バージョン(Mini, 7B-chat更新)を公開。 * **2024-12-18**: (前バージョンの更新) 国内最大規模の日本語LLM開発プロジェクトへの参画を発表。 (出典: [Hugging Face - Rakuten Models](https://huggingface.co/Rakuten), [楽天グループ プレスリリース (AI関連)](https://corp.rakuten.co.jp/news/press/)) ## **17. 類似ツールとの比較** ### **17.1 機能比較表 (星取表)** | 機能カテゴリ | 機能項目 | 本ツール (Rakuten AI) | さくらのAI | Amazon Bedrock | Vertex AI Studio | |:---:|:---|:---:|:---:|:---:|:---:| | **基本機能** | 日本語能力 | ◎
特化型LLM(2.5/2.0) | ◎
国産モデル利用可 | ◯
モデルによる | ◯
Geminiが優秀 | | **カテゴリ特定** | EC特化 | ◎
楽天データ活用 | ×
汎用基盤 | △
カスタマイズ要 | △
カスタマイズ要 | | **エンタープライズ** | 国内データ管理 | ◯
国内企業 | ◎
完全国内完結 | ◯
東京リージョン | ◯
東京リージョン | | **非機能要件** | オープンソース | ◎
Apache 2.0等 | △
OSSモデル利用可 | ×
API提供のみ | ×
API提供のみ | ### **17.2 詳細比較** | ツール名 | 特徴 | 強み | 弱み | 選択肢となるケース | |---------|------|------|------|------------------| | **本ツール** | 楽天エコシステム特化のAI | ・日本語LLM (2.5/2.0) の性能
・OSSとして利用可能
・EC業務への適合性 | ・外部連携が限定的
・汎用SaaS機能は発展途上 | 楽天関連ビジネス、または高性能な日本語OSSモデルを自社運用したい場合。 | | **さくらのAI** | データ国内完結型のAI基盤 | ・完全なデータ主権
・円建ての安定価格
・OpenAI互換API | ・独自のエコシステムは限定的 | データセキュリティとコスト安定性を最優先する国内プロジェクト。 | | **Amazon Bedrock** | AWS統合型のAIプラットフォーム | ・豊富なモデル選択肢
・AWSサービスとの強力な連携 | ・コスト管理が複雑
・ドル建て変動リスク | AWSインフラを既に利用しており、多様なモデルを試したい場合。 | | **Vertex AI Studio** | Google CloudのAIプラットフォーム | ・Gemini 1.5 Proなど最新モデル
・Google検索基盤との連携 | ・学習コストが高い | 高度なAI開発やGoogle Cloud環境での運用を行う場合。 | ## **18. 総評** * **総合的な評価**: * Rakuten AIは、2025年にリリースされた「Rakuten AI 2.0」により、日本語LLMとしての性能を大きく向上させました。特にOSSとしてモデルを公開している点は、開発者にとって大きな魅力です。一方、法人向けサービスとしては楽天エコシステムへの依存度が高く、汎用的なビジネスツールとしての成熟度は競合に譲ります。 * **推奨されるチームやプロジェクト**: * **AI開発者**: 高性能な日本語LLMをローカル環境や自社サーバーで運用したいエンジニア。 * **EC事業者**: 楽天市場に出店しており、商品登録や顧客対応を効率化したい企業。 * **国内企業**: データセキュリティの観点から、国産ベンダーのAIソリューションを選定したい組織。 * **選択時のポイント**: * 「自社でモデルを運用したいか(OSS活用)」または「楽天のエコシステムを活用したいか」が鍵となります。汎用的な業務効率化や他社SaaSとの連携を重視する場合はChatGPTやMicrosoft Copilotが優れていますが、特定の日本語タスクやコストパフォーマンス(OSS利用時)を重視する場合はRakuten AIが有力な選択肢となります。