--- title: Scanopy 調査レポート tool_name: Scanopy tool_reading: スキャノピー category: ドキュメント生成/管理 developer: Scanopy official_site: https://scanopy.net/ date: '2026-03-29' last_updated: '2026-08-07' tags: - ネットワーク構成図 - IT資産管理 - 自動化 - オープンソース description: 自動でネットワーク構成図を生成・更新するディスカバリー&ドキュメンテーションツール quick_summary: has_free_plan: true is_oss: true starting_price: $11.99/月 target_users: - ITチーム - MSP(マネージドサービスプロバイダー) - ホームラボ愛好家 latest_highlight: 2026年8月にv0.17.9リリース(インベントリのテーブルビュー追加、大規模構成図の描画パフォーマンス大幅改善など) update_frequency: 高 evaluation: score: 79 base_score: 70 plus_points: - point: 5 reason: ネットワークスキャンから構成図作成までを完全自動化できる - point: 3 reason: セルフホスト(Community版)なら無料でホスト無制限で利用可能 - point: 2 reason: DockerやPostgreSQLなど200種類以上のサービスを自動検出可能 - point: 2 reason: デバイス単位ではなく定額制のわかりやすい料金体系 minus_points: - point: -3 reason: 公式サイトやドキュメントが日本語に非対応 summary: 手作業でのネットワーク構成図作成を過去のものにする、革新的で実用的な自動化ツール links: github: https://github.com/scanopy/scanopy deepwiki: https://deepwiki.com/scanopy/scanopy documentation: https://scanopy.net/docs relationships: related_tools: - draw.io (diagrams.net) - Proxmox VE --- # **Scanopy 調査レポート** ## **1. 基本情報** * **ツール名**: Scanopy * **ツールの読み方**: スキャノピー * **開発元**: Scanopy (ニューヨーク拠点) * **公式サイト**: [https://scanopy.net/](https://scanopy.net/) * **関連リンク**: * GitHub: [https://github.com/scanopy/scanopy](https://github.com/scanopy/scanopy) * ドキュメント: [https://scanopy.net/docs](https://scanopy.net/docs) * **カテゴリ**: ドキュメント/ナレッジ * **概要**: ネットワーク上のホストやサービスを自動で検出し、常に最新の状態に保たれるネットワークトポロジー図を生成するツール。手動での構成図メンテナンスを不要にする。 ## **2. 目的と主な利用シーン** * **解決する課題**: * VisioやLucidchartなどで作成した手動のネットワーク構成図がすぐに陳腐化してしまう問題 * ネットワーク上に存在するデバイスやサービスの正確な把握 * 新入社員や新しいクライアントへの迅速なネットワーク全容の共有 * **想定利用者**: ITチーム、MSP(マネージドサービスプロバイダー)、システム管理者、ホームラボ愛好家 * **利用シーン**: * 常に最新のネットワーク構成図の維持 * クライアントへのライブなネットワークポータルの提供 * 監査時の正確なネットワークマップの提出 * ネットワーク上のシャドーITや不要なサービスの発見 ## **3. 主要機能** * **自動ディスカバリー**: ネットワークをスキャンし、ホスト、サービス、およびそれらの関係性を自動的に特定する。 * **200種類以上のサービス検出**: DockerやPodman、PostgreSQL、nginx、各種ルーターなど、200以上のサービスを自動で検出・識別する。 * **単一ホストの再スキャン**: ネットワーク全体ではなく、個別のデバイスに対して再スキャンを実行できる。 * **インタラクティブなトポロジー図**: スキャン結果から動的なネットワーク図を自動生成し、ブラウザ上で閲覧・操作できる。 * **分散スキャン**: 軽量なデーモンを各ネットワークセグメントにデプロイすることで、複雑なネットワーク全体をマッピング可能。 * **スケジュールスキャン**: 定期的な自動スキャンにより、構成図を常に最新の状態に保つ。 * **バージョン履歴**: ネットワークの状態のブランチ作成、バージョン固定、過去との状態比較が可能。 * **エクスポートと共有**: ライブビューリンクの共有、PNG/SVG/Mermaid/Confluence形式でのエクスポートや埋め込みに対応。 ## **4. 動作原理・システム構成** * **アーキテクチャ**: クライアント・サーバー構成(クラウド版とセルフホスト版)とエージェントレススキャン。 * **主要コンポーネントとデータフロー**: * ネットワーク内に軽量なデーモンを配置し、サーバーへアウトバウンド接続のみを行う(DaemonPollモード)。 * デーモンがネットワークセグメントをスキャンし、ホストやサービス、コンテナ間の関係性データを収集してサーバーに送信。 * サーバー側で収集データを統合し、Svelteで構築されたフロントエンド上で動的なトポロジー図をレンダリングする。 * **特筆すべき要素技術**: * **Docker API連携**: Dockerソケットを通じてコンテナの内部情報を取得し、サービスや仮想ネットワークを詳細に検出。 * **SNMP/ARPスキャン**: L2/L3レイヤーでの詳細なデバイス探索。 ## **5. 開始手順・セットアップ** * **前提条件**: * スキャン対象のネットワークにデプロイする環境(Docker、Proxmox、Unraid等) * クラウド版の場合はアカウント登録。セルフホスト版の場合はホスティング環境 * **インストール/導入** (セルフホスト時のDocker Compose例): ```bash curl -O https://raw.githubusercontent.com/scanopy/scanopy/refs/heads/main/docker-compose.yml docker compose up -d ``` * **初期設定**: * `http://:60072` にアクセスし、アカウントを作成 * 最初のディスカバリー(スキャン)が完了するのを待つ * **クイックスタート**: * クラウド版の場合は、提供される軽量デーモンをネットワーク内にインストールするだけで、自動的にスキャンと図の生成が開始される。 ## **6. 特徴・強み (Pros)** * **完全自動化されたドキュメント**: 手動で図形を配置する必要がなく、スキャンするだけで完全なネットワーク図が完成する。 * **エージェントレスで軽量**: 各エンドポイントにエージェントをインストールする必要がなく、ネットワーク設定の変更も不要。 * **Dockerと詳細なサービス検出**: 単なるPingやポートスキャンだけでなく、Dockerコンテナや具体的なサービス名(DB、Webサーバー等)まで詳細に検出できる点が他のスキャナーより優れている。 * **定額制の料金体系**: デバイス単位ではなくネットワーク・シート単位の課金のため、大規模ネットワークでもコストが予測しやすい。 * **セルフホスト可能**: AGPL-3.0ライセンスのオープンソースとして提供されており、完全無料で自社インフラにホストすることも可能。 ## **7. 弱み・注意点 (Cons)** * **日本語非対応**: 現在のところ、公式サイト、ドキュメント、UIなどは日本語に対応していない(Weblateでの翻訳プロジェクトは存在)。 * **IPv6非対応**: 現状はIPv4のみのサポートとなっている。 * **柔軟な描画機能はない**: 自動生成に特化しているため、draw.ioやVisioのように自由に図形を配置したり、注釈を細かくデザインするような用途には向かない。 ## **8. 料金プラン** | プラン名 | 料金 | 主な特徴 | |---------|------|---------| | **Free (Cloud)** | 無料 | 1シート、1ネットワーク、最大25ホストまで。クラウド環境でのお試し用。 | | **Starter** | $11.99/月 | 1シート、1ネットワーク、ホスト無制限。スケジュールスキャン、SVGエクスポート、共有リンク。 | | **Pro** | $39.99/月 | 1シート、3ネットワーク(追加+$8/月)。APIアクセス、Mermaidエクスポート、図の埋め込み。 | | **Business** | $79.99/月 | 5シート(追加+$8/月)、15ネットワーク(追加+$6/月)。Confluenceエクスポート、優先サポート。MSP向け。 | | **Community (Self-Hosted)** | 無料 | AGPL-3.0ライセンス。自社インフラで運用。ホスト数やネットワーク数の制限なし。 | | **Self-Hosted Standard/Plus** | 公式サイト参照 | オンプレミス展開向けの商用プラン。テナント分離などの強化機能を提供。 | * **課金体系**: シート(ユーザー)およびネットワーク数ベースのフラットレート。デバイス(ホスト)数は無制限。 * **無料トライアル**: ProプランおよびBusinessプランで14日間の無料トライアルあり。年払い(上記価格)は月払いより約20%お得。 ## **9. 導入実績・事例** * **対象業界**: IT部門、マネージドサービスプロバイダー(MSP)、インフラエンジニア * **導入事例**: * Redditなどのコミュニティにおいて、ホームラボ環境や企業ネットワークの整理・可視化に活用されている事例が多数報告されている。 * 「ネットワークスキャンとDocker検出を両立している希少なツール」として技術メディアで評価されている。 ## **10. サポート体制** * **ドキュメント**: 公式サイトに詳細なインストールガイド、トラブルシューティング、APIリファレンスが用意されている。 * **コミュニティ**: DiscordコミュニティやGitHub Issues/Discussionsが活発に機能している。 * **公式サポート**: Starterプラン以上でメールサポート、Businessで優先サポートとオンボーディングコール、Enterpriseでライブチャットサポートが提供される。 ## **11. エコシステムと連携** ### **11.1 API・外部サービス連携** * **API**: Proプラン以上でREST APIへのアクセスが可能。 * **外部サービス連携**: * Confluenceへのエクスポート機能(Businessプラン以上) * Mermaid形式でのエクスポート(ドキュメントツール等への埋め込み用) * Webhook連携(開発中/Coming Soon) ### **11.2 技術スタックとの相性** | 技術スタック | 相性 | メリット・推奨理由 | 懸念点・注意点 | |:---|:---:|:---|:---| | **Docker / Podman** | ◎ | DockerおよびPodman環境の検出にネイティブ対応しており、コンテナ間の関係性を可視化できる。 | 特になし | | **UniFi Controller** | ◯ | UniFiで管理されているデバイスを可視化し、ネットワークの洞察を活用できる(現在Beta版)。 | Beta版のため一部制限がある可能性あり | | **Proxmox / Unraid** | ◯ | コミュニティベースのインストールスクリプトやアプリが提供されている。 | 公式サポートではない場合がある | | **Mermaid / Markdown** | ◯ | 構成図をMermaidコードとしてエクスポートし、GitHub等のMarkdownに埋め込める。 | Proプラン以上が必要 | ## **12. セキュリティとコンプライアンス** * **認証**: クラウド版は標準的なログイン、EnterpriseプランではカスタムSSO(OIDC対応)が利用可能。 * **データ管理**: セルフホスト(Community版)を選択することで、ネットワークデータを自社環境内に完全に留めることができる。 * **デーモンの通信**: デーモンは基本的にサーバーに対してアウトバウンド接続のみを行い(DaemonPollモード)、インバウンドのファイアウォールルール開放は不要。 ## **13. 操作性 (UI/UX) と学習コスト** * **UI/UX**: モダンでクリーンなUI(Svelteで構築)を採用しており、手書きのラフなスケッチ感はなく、プロフェッショナルな見た目の図が自動生成される。 * **学習コスト**: 低い。デーモンをデプロイするだけで自動的に図が生成されるため、複雑な作図ツールの使い方を覚える必要がない。 ## **14. ベストプラクティス** * **効果的な活用法 (Modern Practices)**: * **セグメントごとのデーモン配置**: ネットワークセグメント(VLAN等)ごとに軽量デーモンを配置することで、ルーター越しのスキャンでの情報欠落を防ぎ、精度の高い完全なトポロジー図を作成する。 * **定常監視としての利用**: スケジュールスキャンを有効にし、予期せぬデバイス(シャドーIT)の接続やサービスの立ち上がりを検知するダッシュボードとして活用する。 * **陥りやすい罠 (Antipatterns)**: * 単一のホストから離れたネットワークをスキャンしようとすること(L2情報が取得できず、MACアドレス等の詳細情報が欠落する可能性がある)。 ## **15. ユーザーの声(レビュー分析)** * **調査対象**: Reddit (r/selfhosted, r/homelab), 外部技術メディア (VirtualizationHowto等) * **総合評価**: レビューサイトのスコアはまだ少ないが、コミュニティでの評価は非常に高い。 * **ポジティブな評価**: * 「Mermaidのスケッチとは違い、ビジュアルがクリーンでモダン」(VirtualizationHowtoより引用) * 「自動で図を作成し、最新に保ってくれる。誰もが夢見ていたツールだ」(IT-Connectより引用) * 「ネットワークスキャンとDocker検出の両方ができる点が非常に有用」(Korbenより引用) * **ネガティブな評価 / 改善要望**: * 「IPv6のサポートが欲しい」(現在未対応) * 「一部の特殊なデバイスの自動認識が外れることがある」 * **特徴的なユースケース**: * 自宅サーバー(ホームラボ)の複雑な配線やDockerコンテナ群の全容を可視化し、不要なサービスを特定して整理するために使用。 ## **16. 直近半年のアップデート情報** * **2026-08-06**: v0.17.9 リリース (インベントリのテーブルビュー追加、大規模ネットワーク描画のパフォーマンス向上) * **2026-07-29**: v0.17.7 リリース (単一ホストの再スキャン機能、UniFiコントローラー連携(Beta)追加) * **2026-07-07**: v0.17.4 リリース (Self-Hosted Standard/Plus プランの追加、テナント分離の強化) * **2026-07-01**: v0.17.2 リリース (Podman コンテナ連携追加、アプリケーションビューのレイアウト最適化) * **2026-03-26**: v0.15.3 リリース * **2026-03-05**: v0.15.2 リリース * **2026-02-18**: v0.15.0 リリース * **2025-12-10**: v0.14.0 リリース (出典: [GitHub Releases](https://github.com/scanopy/scanopy/releases)) ## **17. 類似ツールとの比較** ### **17.1 機能比較表 (星取表)** | 機能カテゴリ | 機能項目 | Scanopy | draw.io (diagrams.net) | Visio | Nmap / Zenmap | |:---:|:---|:---:|:---:|:---:|:---:| | **基本機能** | 構成図の自動生成 | ◎
スキャンから完全自動 | ×
手動作成 | △
データ連携で一部可能 | △
シンプルなトポロジーのみ | | **自動化** | スケジュール更新 | ◎
定期スキャン対応 | ×
手動更新 | ×
手動更新 | ×
スクリプト等が必要 | | **詳細検出** | サービス/Docker検出 | ◎
200種以上対応、Podmanもサポート | - | - | ◯
ポートベースでの推測 | | **表現力** | 自由なレイアウト・装飾 | ×
自動配置のみ | ◎
完全な自由描画 | ◎
完全な自由描画 | ×
固定レイアウト | ### **17.2 詳細比較** | ツール名 | 特徴 | 強み | 弱み | 選択肢となるケース | |---------|------|------|------|------------------| | **Scanopy** | 自動ディスカバリ&作図 | 図が常に最新に保たれる、Docker等の詳細検出 | 手動での自由なレイアウト調整ができない | 「今の正確な構成」を維持・確認したい場合、構成図の陳腐化を防ぎたい場合。 | | **draw.io (diagrams.net)** | 無料の高機能作図ツール | 完全無料で自由な作図が可能、VS Code連携 | 手動でメンテナンスし続ける必要がある | 構想段階の設計図作成や、論理的な(物理に縛られない)図を作成したい場合。 | | **Visio** | 伝統的な作図ソフト | Office連携、厳密な作図ルール | 高価、図の陳腐化問題は解決しない | 企業標準としてVisioが指定されている場合や、細部まで作り込まれたプレゼン用の図が必要な場合。 | | **Nmap / Zenmap** | ネットワークスキャナー | 圧倒的なスキャン性能と実績 | 図の生成機能は貧弱、ドキュメントツールではない | セキュリティ監査や、純粋なポートスキャン・脆弱性調査が主目的の場合。 | ## **18. 総評** * **総合的な評価**: * 「ネットワーク構成図を作ってもすぐに古くなって使い物にならない」というIT現場の永遠の課題に対する強力な解決策。スキャン技術とモダンなWeb可視化技術を見事に融合させており、特にDocker等の現代的なサービス検出に優れている。セルフホスト版が無料で提供されている点も非常に魅力的。 * **推奨されるチームやプロジェクト**: * オンプレミスやハイブリッド環境を管理している情シス・インフラチーム * 複数のクライアントネットワークを管理するMSP * 複雑なホームラボを構築しているエンジニア * **選択時のポイント**: * 自由に図形を配置して「理想の構成」を描きたい場合は `draw.io` などの作図ツールを選ぶべき。 * 「現状の正確な構成」を自動で把握し、常に最新のドキュメントとして維持したい場合は `Scanopy` が圧倒的に適している。